
奈良県にお住まいの奥様から、離婚公正証書の作成サポートのご依頼をいただきました。
今回の事例の1番のポイントは、養育費を段階的に引き上げていく内容を具体的に(期間・金額等)して、公正証書の内容に入れたことです。
また、お子さん自身の病気・怪我に伴う医療費だけでなく、もし、お子さんが誰かを怪我させてしまった場合の費用についても考えられ、公正証書の内容に含められています。
女性:30代
男性:30代
小学校低学年のお子さん1人
今回は奈良県にお住まいの奥様から、「離婚をするので公正証書を作りたいです」と、お問い合わせがありました。
相談日時の予約をしていただき、数日後に、奥様が当事務所まで相談に来られました。
お二人の間では、離婚ならびにその公正証書の作成について、合意されていました。
状況をおうかがいしたところ、ご主人に不倫があり、離婚に至ることになったとのことでした。
この状況では不倫についての慰謝料が発生しますが、奥様は、それよりもお子さんが大きくなるに伴い養育費を上げていき、それをきちんと受け取ることを重視したいご意向でした。
「養育費の金額を変えていくことはできますか? 例えば、月に5万円と決めた場合、最後まで5万円じゃなくてもいいのですか?」という質問をお受けしました。
これには「公正証書に強制執行の力をもたせるには、期間を決めて金額を書かなければいけません。ですので、具体的に“何年何月から何年何月まで、1か月〇万円、何年何月から何年何月まで△△万円”と決めて書くならば、養育費の金額を変えていくことはできます」とお答えしました。
※他にも、月々の支払期限、支払方法等は必要です。
今回の事例では、
といった項目が、離婚公正証書の内容の中心となりました。
養育費を段階的に引き上げていくことについて、例えば「進学に伴い増額する」というような書き方では、強制執行の力をもちません。
「何年の何月から何年の何月まで、1か月〇万円、何年の何月から何年の何月までは、1か月△万円」のように決める必要があります。
養育費の支払期限は、この事例では、お子さんが大学を卒業するまで(令和○○年○月と明確化)となっています。
満20歳の時に進学していない場合は、満20歳の誕生日月まで、専門学校等に進学した場合はそこを卒業する月までです。
ボーナスを考慮し、6月と12月は他の月よりも養育費が○○円プラスになることも、明記されています。
お子さんの進学にかかる費用は、折半されることを明記しました。
お子さんが怪我や病気をされた場合、その1回の怪我・病気についてかかる治療費の合計が30万円を超えた場合、費用を折半とされています。
もし、お子さんが第三者に怪我をさせてしまい、治療費と損害賠償金の合計が30万円を超えた場合、その費用を折半とされています。
現状、奥様とお子さんはご主人と同居中で、離婚後も数ヶ月は、現在の住居で同居の予定とのことです。
公正証書では期間を明確にする必要があるので、
の内容で記載されています。
また、奥様の引越し費用は、ご主人が負担されることを決められました。
ただし、引越し費用については前もって金額がわからないため、強制執行の対象とはなりません。
ご主人からのご要望で、引越しに伴い不用となる家財道具・家電用品の処分費用についてはは、協議して決めることとされました。
ご主人の不倫が原因で、奥様は心療内科に数か月通院されました。
その治療費をご主人が負担されることになり、金額、支払方法等を明記しました。
面会交流については、お子さんの生活に支障のない範囲で月に1~2回を目途に行うと決められました。
また、学校行事や誕生日などのイベントへのご主人の参加については、その都度、協議して決められます。
財産分与としては、それぞれの預貯金はそれぞれのものであることを明記しました。
不動産については、ご主人の所有であることを明記しました。
ローンの債務については、ご主人が返済されます。
お客様が負担された費用は、以下の通りです。
<当事務所への費用(税込)>
<公証役場費用>
公証役場に支払う費用は公正証書の内容により計算されます。
詳しくは当事務所にご相談ください。
以上、お子さんの成長に伴い養育費が上がっていくことについて、いつから何万円に増額するのかを決めて、公正証書に記載された事例をご紹介しました。
強制執行の力をもたせるには、「成長につれ養育費も上がっていくだろう」というところから、具体的に「○○年○○月から△△△円」というところまで、段階的に上がっていく養育費の期間・金額を明確にする必要があります。
離婚の公正証書についてわからないことがある場合などは、オフィス大石にご相談ください。初回相談は1時間まで無料で対応させていただきます。