ペット(犬2匹)を飼育する費用と離婚後の生活費の負担を定めた離婚の公正証書|大阪市

今回の事例内容

今回は、大阪市にお住まいの奥様からのご依頼です。

ポイントになったのは

 

  • ペット(犬2匹)を飼育する費用とそれを支払う期間
  • 生活費(扶養的財産分与)の負担についての取り決め
  • 不動産についての合意
  • 年金分割

 

でした。

これらを明確にし公正証書の作成サポートを行いました。
結果として、ご夫婦が納得のいく離婚の公正証書を作成することができました。

事例詳細

ご相談内容

女性:50代 大阪市
男性:50代 高槻市
お子さんなし
※奥様からご相談がありました。

 

今回のご依頼は奥様がホームページをご覧になられ、「離婚の公正証書について相談したい」とお電話にてお問い合わせがありました。
お電話で相談日時の予約をしていただき、後日対面でお話を伺うことになりました。
初回はお二人で来られました。

 

ご相談時、お二人は既に別居中で、奥様は大阪市の自宅に、ご主人はご実家にお住まいでした。
お二人の間でもめたりしたわけでなく事情があっての離婚で、お二人の間で問題なく話し合いが進められるという状況でした。

 

ご相談の時点でペット(犬2匹)を飼育する費用の金額はご夫婦でご検討済でしたが、

 

  • いつまで支払うのかを決めること
  • 犬1匹ずつについて飼育費用を決める必要があること

 

等の、公正証書の強制執行の力をもたせるために必要な項目についてご説明しました。

対面での面談時に「公正証書の作成サポートを依頼したい」とその場でご依頼をいただきました。

今回の離婚の公正証書で明確にした条項

今回の事例では、

 

  • ペット(犬2匹)を飼育する費用とそれを支払う期間
  • 生活費(扶養的財産分与)の負担についての取り決め
  • 不動産について
  • 年金分割

 

という内容が中心となりました。

ペット(犬2匹)を飼育する費用とそれを支払う期間

ペットの犬を2匹飼育されていて、離婚後は現在と同様、女性が引き取ることになり、その飼育に必要となる費用を男性が負担することを決められていました。

 

当初、「犬が亡くなるまで」を期間として検討されていましたが、強制執行の力を持たせるには「〇年〇月まで」と支払期間を定めなくてはなりません。

 

犬が亡くなるまでを支払期間と想定したいのであれば、亡くなる想定より長めに設定したほうがいいと思います。
犬の年齢は、ご相談時13才と10才とシニア犬で、どちらも体調があまりよくないそうです。
期間は、お二人で相談され、5年間を書面上での支払期間と決められました。

 

また、当初犬2匹を飼育する費用を支払うとして検討されていましたが、それでは強制執行の力を持たせるためには、犬1匹ずつに対して、飼育費用を設定する必要があります。
どちらも支払終期前に亡くなってしまったときは、その犬についての支払いはそこまでとし、支払終期後、存命であれば、再協議するという約束も入れています。

 

支払いは、男性から女性へ月々の支払いです。

 

また月々の支払いとは別に

 

  • 犬の保険費用
  • 犬を病院に診てもらった際の費用

 

男性が支払うこととなりました。
こちらに関しては、強制執行の力を持たせることはできませんが、約束として公正証書に記載されています。
その都度、領収書を女性が男性に見せ、その金額を支払うことになります。

 

また、男性は1週間に2度ほど、犬の様子を見るために女性の住居を訪れることも決められています。

生活費(扶養的財産分与)の負担についての取り決め

先述の犬は、どちらもシニア犬で健康状態があまりよくなく、長時間放置することができないため、女性は仕事に就くことができません。

 

そのため、男性は女性に対して、犬の飼育費用と同じ期間、女性の生活費も5年間支払うことを約束されました。
犬がどちらか1匹でも5年以上生存している場合は、それ以降も生活費を支払い続けることとなりました。

 

また、自宅の光熱費については、その間、婚姻中と同じように男性の口座からの引落しとなっています。
女性が病気になった際は、その治療にかかる費用も男性が負担することになっています。
全て公正証書に記載されています。

不動産の名義変更

お二人が住まれているマンションは、ご主人の名義で、ローンは債務者であるご主人が返済されています。
離婚後、別居中の現在と同様に、奥様が無償で住み続けることになっていました。
ローンは公正証書作成から1か月後に完済となる予定でした。

 

ペットの犬が亡くなった後、マンションを売却し、売却代金より売却に必要となる費用を差し引いたものを財産分与として折半することにされていました。

 

これでお二人の間で問題なく決められていて、相談のときは、奥様もそれほど言われてなかったのですが、後日、奥様からのメール、お電話でのお話で、奥様が大変心配されていることがありました。

 

それは、マンションを売却するまでに、万が一、男性が亡くなってしまった場合、自分に約束したマンションについてのお金が取得できるかということでした。
万が一を考えると、きりがないのですが、男性名義のマンションなので、離婚後に相続が発生すると、その相続人の所有になります。
そうなっても、公正証書があるのですから、相続人に対して、財産分与の主張はできるのですが、この方は、面倒なことは避けて、何もせずにスムーズに自分にお金が入ってくるようにと希望されていました。

 

男性が遺言書を書いておく、あるいは男性と女性の間で死因贈与契約をしておくこと等が考えられますが、遺言書、死因贈与契約には全く興味を示されず、とにかく自分が何もせずにいくようにと考えられていました。

 

状況から、財産分与する前に相続が発生することは考えにくいことではありますが、それでも絶対ないとは言えません。
ですが、彼女が考えられている、何が起ころうと何がなんでも100%、何もせず自動的にということは無理なことでした。

 

それで、ローン完済後に、不動産の2分の1を自分の名義にし、共有財産とすることを考えられました。
それであっても、彼女が心配する相続が発生した場合は、相続人と彼女との所有になるため、やはり話し合い等になっていくことは同じだろうと思います。

 

それでも、何がなんでもと、弁護士、税理士の先生等に相談されたそうですが(3か月ほど)、彼女が希望する方法はなく(それはお伝えしていましたが)、結局、不動産の2分の1を彼女の名義にすることになりました。

 

いずれ売却することが決まっているにもかかわらず、所有権の移転の名義変更すると登録免許税がかなりかかりますが、それでもお二人は名義変更することを決められました。
売却するまでの固定資産税、管理費は全て男性の負担です。

年金分割

年金分割は、お二人は合意分割に該当します。

 

合意分割の場合、手続きについては以下になります。

 

①離婚後、二人で年金事務所に行き、手続きをする。
②離婚後、一人で年金事務所で手続きする場合は、
 ・公正証書に年金分割の合意分割について必要な文言を入れる
 ・「年金分割合意書」を作成し、公証人の認証を受ける

 

お二人は①を選択されましたので、公正証書には、離婚後に、二人で年金事務所に行き、合意分割の手続きをする内容を入れています。
これはあくまで②の公正証書に入れる文言ではありません。

 

①が年金分割についての費用が発生しない方法です。

 

以上のこと以外にも、

 

  • 離婚の合意
  • 通知義務
  • 清算条項
  • 強制執行認諾条項

 

等の離婚の公正証書に必ず入れる内容も記載されています。

実際にかかった費用

お客様が負担された費用は以下の通りです。

 

当事務所への費用(税込)

  • 公正証書作成サポート 55,000円

 

公証役場費用

  • 公正役場費用     41,000円
  • 交付送達         1,650円(送達 1,400円 、送達証明書 250円)

 

公証役場に支払う費用は公正証書の内容により計算されます。
詳しくは当事務所にご相談ください。

まとめ

今回は、

 

  • ペット(犬2匹)を飼育する費用とそれを支払う期間
  • 生活費(扶養的財産分与)の負担についての取り決め
  • 不動産についての合意内容
  • 年金分割手続きについての合意内容

 

このような内容を中心に公正証書ができました。

公証役場での調印には、当事務所の行政書士が立会いをし、無事手続きが完了しました。

 

当事務所では、公正証書を作成する際に、お客様が合意された養育費や慰謝料の金額、支払方法などについて、基本的にはチェックシートにご記入いただき、電話、メールなどでお話ししながら原案作成を進めるというように、公正証書作成をサポートしています。

 

離婚の公正証書についてわからないことがある場合などは、オフィス大石にご相談ください。
初回相談は1時間まで無料で対応させていただきます。

この事例の担当

行政書士 大石明美 行政書士オフィス大石代表

神戸にある大学の文学部英文学科卒業。
販売関係の仕事、日本語教師を経て、2008年12月10日行政書士オフィスを開業。
離婚等の公正証書作成サポートを開始。
2014年 大阪府行政書士会第65回定時総会にて「会長表彰」を受賞。
北海道から沖縄まで、全国各地から離婚公正証書作成サポート、別居公正証書作成サポート等のご依頼を受けています。

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