今回の事例は、離婚されるご夫婦の奥様からの、離婚協議書作成依頼についてです。
当事務所のホームページからの問合せでした。
奥様からは、
・離婚協議書もしくは公正証書のどちらを作成したらよいか迷っている
・できれば、より効力の強い公正証書を作成したい
・ご主人が公正証書の作成に難色を示している
という内容の相談を受けました。
結果的に、当事務所より奥様に詳しく説明させていただき、ご主人様も納得いく形で公正証書の作成となりました。
奥様(ご依頼主):40代(会社員)お子さんは中学生
ご主人:40代(会社員)
大阪府東大阪市在住
当事務所にはホームページを通じて奥様からご相談がありました。
ご夫婦は既に離婚は決まっていて、夫婦間での「協議書」の作成についてのご相談でした。
奥様のお悩みを要約すると以下になります。
・離婚協議書もしくは公正証書のどちらを作成したらよいか迷っている
・できれば、より効力の強い公正証書を作成したい
・ご主人が公正証書の作成に難色を示している
ご主人は「養育費をちゃんと支払う」と言われていますが、奥様は「口約束では不安」とのことで、ご主人に納得してもらった形で公正証書の作成をしたいとお考えでした。
離婚にあたって、奥様は「離婚協議書の作成か、公正証書の作成か、どちらがいいのか?」と迷われていました。
離婚協議書(私文書)と公正証書(公文書)の違いは以下で、効力の大きさに違いがあります。
詳しくはトップページ(離婚協議書と離婚公正証書の違いはご存知ですか?)をご覧ください。
離婚協議書とは?
離婚協議書は、離婚に伴う話し合いの中で、財産分与や養育費などのお金のこと、今後のお互いの生活に関してのことに対して合意した内容をお互いが忘れないようにする書面です。「私文書」扱いになります。
特に離婚時の取り決めに対して相手が約束を守ってくれないといった離婚後の争いがないように、また合意内容がその通りに実現するためにも作成するものです。
また平成24年4月から離婚届の様式が変わり、「養育費」「面会交流」の2つのことについて夫婦で話し合いを行ったのかチェックする欄が設けられたので、必然的に約束を書面にしたいという方は増えてきています。
公正証書とは?
公証役場で作成される公文書として信頼があり、お金を支払う契約では執行証書となる機能を備えられます。公正証書は、公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人(もと裁判官、もと検察官など)が作成する「公文書」で、信頼性に優れています。
離婚協議書と公正証書では法的な効力が違い、公正証書の方が強制執行の力をつけることもでき、原本も20年間、公証役場に保存されます。
「離婚協議書」と「公正証書」どちらも離婚にあたっての約束事を書いたこととしては同じ内容なのですが、万が一養育費の支払いが滞った場合、離婚協議書は、書面だけでは強制執行ができず、強制執行による方法を取るには、裁判所での確定判決が必要になります。
一方、公正証書を作成した場合は、契約したように養育費の支払いが行われず、滞った場合、裁判の手続きを経なくても、支払う方の給与、預貯金等の財産への強制執行の手続きができます。強制執行をするには所定の手続きは必要です。
離婚相手に養育費の支払いを強く意識してもらうために、保険的な意味でも「公正証書」を作成することは重要です。
離婚にあたっての取り決めにより、必ず公正証書にしておかなくても、離婚協議書でいい場合もありますが、養育費等のお支払がある場合は、公正証書にしておくことをおすすめします。
今回の事例は、養育費があり、公正証書を作成しておくほうがいいのですが、ご主人様が公正証書の作成についてご納得されていないのが、奥様にとっての不安要素でした。
奥様は公正証書の作成をご希望でしたが、ご主人は「ちゃんと払うって言っているのに公正証書作成って、僕を信じられないの?」という反応だったそうです。
奥様は口約束だけでは不安で、後でもめることも嫌なので、公正証書を作成しておきたいと思われていました。
当事務所に相談にお越しになった奥様には、「疑っているから公正証書を作成するのではなく、安心のために作成するのが公正証書です。養育費のお支払いをきっちりされるのであれば、強制執行の力を使うのでことありません。保険的な意味もあって、公正証書を作成したい」ということを含めてご主人にお話しされる際の説明の仕方等をアドバイスさせていただきました。
公正証書の作成には、行政書士等に依頼された場合でも、原則、当事者お2人が公証役場に行き、公証人の読み聞かせがあり、その場で署名捺印する必要があります。(代理人による署名捺印も可能ではあります。)
ご相談に来られた奥様が、ご主人にお話をされ、最終的にはご夫婦で納得をされて公正証書を作成することができました。離婚問題はご夫婦の問題とはいえ、お子様のこともあるので、そこはご主人も納得されたようです。
公正証書の内容としては以下になります。
・不動産の売却を行い、売却代金でご自宅のローンの返済
・不足分はご主人が返済
・養育費をご主人が支払う
・面会交流(子どもが中学生なので、特に月に何回ということでなく、中学校卒業までは必ず面会交流するときに事前に奥様に連絡する。面会の時に高額なものを与える場合は事前または事後に奥様に報告する)
・財産分与(不動産、預貯金、車について)
上記の内容について公正証書に記載となりました。(慰謝料に関しては発生していません。)
当初より奥様は「主人に納得してもらって、公正証書を作成したい」とお考えでした。
今回の当事務所への必要な金額は55,000円(税込み)であることをお伝えし、奥様にご承諾いただきました。お問い合わせから、実際にお二人で公証役場に行っていただき、手続き完了までにちょうど一ヶ月でした。
実際にかかった費用
・当事務所の手数料 55,000円(税込)
・公証役場に支払う手数料 約20,000円
また戸籍謄本等、必要書類をご準備していただきました。
今回の事例のように、ご主人(奥様)が、公正証書作成に関して否定的な場合は、感情的にならずに説明することが大切です。
ご夫婦の問題でもありますが、一番はお子様のためですので、その点をご夫婦でしっかり話し合って、お子様のことで、育てる方が不安にならないようにも親としての責任をまっとうするという意識で、公正証書を作成することをおすすめします。
ご夫婦でしっかりお話をできるように、お2人とお子様の将来を見据えた細かな情報を、プロの立場からお伝えいたします。離婚時の公正証書作成に関して不安があれば、まずはオフィス大石の無料相談をご利用ください。
離婚に関する公正証書の内容で、ご主人(奥様)が難色を示されている場合は、行政書士オフィス大石が親身になって対応しますので、お気軽にご相談ください。全国対応しております。