大阪の豊中市在住の男性から「妻と長い間別居していますが、ようやく離婚をすることになったので、公正証書を作ろうと思います」と問い合わせと共にご依頼を受けました。
離婚状況を聞いてみると、4年前に離婚を切り出したが受け入れてもらえなかったため、その時から別居をしているようでした。また、大学生の子どもが2名いて、別居中も、養育費とは別に、生活費として給与収入の半分ほどを奥様に渡されていたそうです。
奥様が離婚に応じてくれたということで、当面の生活を約束すると話をし、公正証書を作ろうと考えられたようでした。
合意された内容は以下の通りです。
内容自体はほとんど決まっていました。
ただ、公正証書にどのように入れればいいのかわからなかったのと、自分達の決めたことがきっちり記載できている公正証書にしたいということで、ご依頼いただきました。
公正証書に入れる内容がほとんど完璧に近い状態ではあったものの、やはり大切な詳細情報が抜けているところが、ところどころあり、各項目について詳しく聞きました。
金額と期間はしっかりと決まっていました。
ただ、公正証書にするために、また強制執行をするために必要な情報が抜けていました。
それは、「毎月の支払い期日」「支払い方法(振込による場合は口座等)」の2つです。
いつからいつまで、いくら払うのかだけだと強制執行の対象にはなりません。強制執行の対象にするためには、毎月何日までに支払うかの期日と支払いする口座の指定も必要です。
不明点をリストアップしながら、ヒアリングしていきました。
実は、この部分は、支払いが滞っても強制執行できません。
退職するまでと期間を決めていますが、強制執行の対象とするには、何年の何月まで支払うかを確定する必要があります。
そのことをお伝えし、「強制執行に関しては理解できました。問題ありません」ということになり、給与の増減を考慮するという内容も入れてほしいという要望が後からでてきたので、その内容を記載させていただきました。
退職金が財産分与となるかどうかについては、「近い将来退職金を受領できる蓋然性が高い」場合には財産分与の対象とするというのが裁判例です。
「数年後に退職することが確実であり、その時点での退職給付金の額が判明している場合、財産分与の体操になる」としているものもあります。
今回のケースでも、近い将来に退職されることから、財産分与とされることになったのだろうと思います。
公正証書では、この部分に関しても、退職月が明確になっていないため、強制執行の対象となりません。
ただし、定年退職年月を想定して、退職金も想定したうえで、何年何月に●●円の退職金の半額である●円を●月●日までに、●口座に支払うと決めてしまえば強制執行の対象となります。
強制執行の対象になる、ならない等を詳しくご説明させていただき、お2人の要望を伺ったうえで適切な文章で原案を作成し、公正証書にもその通りの文章になっています。
婚姻期間が長く、離婚時年金分割の合意分割をされることとなりました。
離婚時年金分割には、「合意分割」と「三号分割」があります。
合意分割というのは、婚姻期間全部を対象とするもので、0.5を上限とした割合で年金を分割する制度です。
合意分割をするには、
③の場合は、公正証書や合意書の書面は必要ではありませんが、①か②の書面が必要書類とされています。
⇒ 年金分割についての詳細はこちら
公正証書にする目的は約束したことを書面に残し、お互いに守るようにするためです。
そのため、男性から女性に支払いすることが多いにも関わらず、今回のようにご主人からの依頼も多く、今回もご自分が支払うものであっても、シッカリと離婚後の奥様のことも考えられ、同意を得られた内容でした。
離婚公正証書の作成を考えられている方は、お気軽に行政書士大石にご相談ください。