
行政書士大石に離婚相談に来られる方の多くは、「離婚をすることになったので、書面をつくりたい」といわれます。その際、公正証書を希望される方が多いです。
なぜ公正証書かというと、養育費や財産分与を絶対に払ってほしいという名目上、養育費や財産分与などのお金の未払いが続いた時に強制執行をかけることができるためと言われます。
ただ、強制執行をかけられる書面という認識は間違いではありませんが、強制執行は条件をみたした内容にしか適用されないことをご存知ない方が99.9%です。
公正証書についての勘違いや知らないことは7つあります。
実はこの7つについて正しい知識がなければ、思うような公正証書になりません!
※厳密にはこれらの知識がなくても公正証書を作成することは可能ですが、求める効果は得られないので、目的を果たせないものなる可能性があるでしょう・・・。
ここでは正しい知識をお伝えします。
法務省管轄の公証役場にいる公証人が作成する公文書のことです。
公証人というのは、法務大臣から任命をうけた、裁判官や検察官などを永年勤め選ばれた法律の専門家です。
だからこそ、公正証書は強制執行ができる力をもつ書面なのです。
離婚をすることになり、養育費や財産分与を確実に得るために、公正証書を作成したいと考える方は多いです。
しかし、公正証書は非常に強い効力を持つ書面であり、お互いの同意なしに作成をすることはできません。
それは公正証書に限らず、公正証書にしない離婚協議書においても同じです。
また、公正証書を作成することについての合意がなければ、作成はできません。
公正証書は、同意をしていない内容を入れることはできません。
よく相談時に、養育費はこれだけほしい。財産分与はこれだけほしい。などと聞きますが、これはあくまでも要望なので、同意をもらっていることでなければ公正証書の内容にいれることができないのです。
公正証書に記載するお二人の間でのお金に関することは、強制執行の対象にできます。
しかし、ただ入れれば対象にできるということではなく、金額・支払い期限あるいは支払い期間・支払方法など、具体的に記載しなければならないことがいくつかあります。
また、強制執行認諾文言という、債務不履行の際は強制執行をされても異議はないという同意も必要になります。
公正証書のテンプレートをWEBで探せばたくさんでてきますが、実際のところテンプレート通りに考え、お互いの同意の上作成したとしても、求めた力を得られない可能性があります。
離婚時の状況や背景は、その夫婦それぞれであり、決めた方がいいこと、入れたほうがいい内容などは、それぞれに違います。
基本的な内容はテンプレートで何とかなっても、細かい部分は背景次第で決め方や書き方を変えなければ、その内容を書かれたものにはなりません。
状況により異なるので例を出すのは難しいですが、このことはご参考になさってください。
下記はおおまかな流れであり、当事務所における流れではありません。当事務所においてはご依頼から公正証書作成までできる限りのサポートをきめ細かく行います。また、調印日は同席させていただきます。
①公正証書を作成することについてお互いが同意
②公正証書に入れる内容についてお互いが同意
※ここが重要です。
ここで公正証書に入れる内容が決まりますが、状況により的確に表現できる言葉、記載しなければいけないことなど様々です。
だからこそ、できる限り行政書士に相談されることを推奨いたします。
ご自分達で直接公証役場に行って作成ということもできますが、公証人の先生にご自分達の内容を的確に伝えるのは難しいと思われます。
③公証役場に公正証書作成を依頼
当事務所にご依頼いただいた場合は、公証役場への依頼、公証人との打ち合わせ、案文の確認、調印日の予約等はすべてこちらで行います。
送達手続きについても、ご本人への説明とともに、お願いされる場合は公証役場にお願いします。
※送達手続きとは、強制執行をする際に必要となるものの一つです。
④公証役場にて調印
公正証書の作成の簡単な流れはこれだけですが、当事務所では内容が決まるまでのサポートなど十分に行います。
細かい流れはありますので、サポートを依頼する行政書士に、直接公証役場に行っての作成をお考えの方は公証役場にお問合せください。
公正証書の作成について公証役場に支払う費用は、内容により手数料が計算され、それ以外に正本、謄本等、他にかかるものがあります。
手数料は、公正証書に記載する養育費や財産分与などの金額により異なりますが、料金のおよその目安はわかると思いますので下記画像をご覧ください。
当事務所に相談に来ていただいた方には、下記だけでなく計算の仕方等を詳しくお伝えできます。
ご依頼いただいた場合は、内容のご確認をさせていただく上で、公証役場費用をおさえることができ場合はお伝えさせていただきます。
出典:公証人連合会ページ
出典:公証人連合会ページ
たまに、公正証書の強制執行の力を間違って解釈されて、公正証書でお支払以外のことを「~する」「〜しない」と約束して、それが実行されない場合、強制的な力で何とかしてもらえると思われている方がありますが、そのような行動については、公正証書は約束したという証拠としての力となります。
また、お支払いが滞ったときは、自動的に強制執行の力が働くと勘違いされている方もありますが、強制執行をするには、その手続きが必要になり、強制執行をかけるかどうかの判断はご自身がその時にすることになります。
離婚をする際に公正証書作成にあたって、知っておいたほうがいい知識はこれで大丈夫かと思います。
ただ自分で内容を考えるとなると、強制執行の力をもつための決め方や、どの部分が強制執行可能となるか、離婚の際に決めておいた方がいいことなどをすべて自分では調べようとしても、わからないと思います。
さらに、自分達で内容を考え、直接公証役場に行った場合、公証人に内容をその通りに伝えられず、思い通りの結果を得られなくなる可能性があります。
離婚をするのは大変なことです。これで完全かと思っても、話し合っておかないといけないことを見落としたりしてしまいます。
離婚は一生に何度もあるようなものでもないため、確実にしっかりとした書面にしておくべきです。
後で困らないためにも離婚公正証書の作成に携わっている行政書士にサポートしてもらうことを推奨します。