
1歳の子どものいる女性が当事務所に離婚公正証書を作成したいと相談に来られた際の事例です。
公正証書作成の相談は全部で2回(1回目は離婚前に女性がお一人で来られ、2回目は離婚後に元パートナーの男性と一緒に来られた。)行いました。
女性は子どもが1歳なので、今後の養育費や学校などの教育にかかる費用のことを心配されていて、”養育費とは別に学校の入学金と学費も払ってもらえるようにしたい”という思いをお持ちでした。
相談時にあった具体的な質問は、下記の2点がメインです。
もちろん、他にも質問されたことはありましたが、女性が気にされていた部分がこの2点でしたので、実際に相談時から、公正証書作成に至るまでのことを書かせていただきます。
まず一つ目の質問であった、「離婚後でも公正証書を作成することができますか?」という質問に対しては、「離婚後でも公正証書は作成できますよ」とお伝えさせていただきました。
ただし、離婚後に公正証書を作成する場合は注意点があるので、いくつかの注意点をお伝えさせていただきました。
わかりやすく箇条書きで書かせていただきましたが、更に細かいことがたくさんあります。
特に公正証書にする場合、強制執行をする事を想定されているケースが多く、強制執行ができるように公正証書作成を希望されることがほとんどです。ただし、請求するのに定められた期限を過ぎていた場合は、請求を行う事ができなくなる場合があります。
公正証書を作成するには記載する内容一つ一つにおいてお互いの同意が必要です。
そのため、離婚後に公正証書を作成しようとしても、なかなか話し合いが進まずに時間が過ぎてしまい公正証書の作成自体を断念することになる可能性も考えられるため、できる限り離婚前に作成する事を推奨しております。
女性からの「入学金と学費を養育費とは別に受けられるようにしたいけど、他の方はどうしてるのか?」という質問に対しては、明確な答えがあるわけでなく人により様々です。
そのため、例として「入学金や学費は、負担割合をその時に協議して決める。と記載をしてることが多いですよ。」とお伝えをさせていただきました。
ただし、このニュアンスの書き方では、払ってもらう約束をしたことにはなりますが、この部分に強制執行の力を使うことはできません。
養育費とは別に教育費も絶対に欲しいという場合は、公正証書の力を最大限発揮するために、具体的な金額と支払い方法等も記載する必要があることをお伝えしました。
例えば、”子どもが入学をする何年何月末日にいくらをどこにどのように支払うのか”といった内容です。
そして、女性は男性と話し合いを行った上で、明確な金額を決められました。
ただ、離婚をすると再婚が考えられるので、女性が再婚をした場合、入学時に学費を一括で支払うと決めたため、再婚した時からの分を既に支払っている場合については、支払う側の気持ちを考慮し、協議することを話し合いの上で決められました。
また、実際にかかった教育費との過不足については、どうするのかを確認させていただき、「それは、その時に協議して決める。」と双方合意をされました。
公正証書は「一方的にお金を払ってほしいから、これを強制執行できるようにしたい。」という要望があっても双方で同意を得られない場合は、公正証書として作成することができません。
特に離婚公正証書の場合、養育費や財産分与などお金が多く関わってくるため、双方が納得できることを考え、話し合いを行い、お互いでしっかりと同意をすることが大切になります。
また、今回の離婚公正証書は、”女性の養育費とは別に教育費も受け取れるようにしたいという要望”を条件をつけて男性が受け入れたことによって初めて記載できたものです。
ただ、その人の環境により公正証書に記載した方がいいこと、決めておいたほうがいいことが異なりますので、テンプレートが当てはまらないことがほとんどです。
しっかりとお互いの思いを反映できる離婚公正証書を作成しようと考えておられる方は、お気軽に行政書士大石にご相談ください。