今回の事例は、「養育費を含む公正証書を作りたい」とご相談をくださった依頼者様と、同じ方です。
公正証書の作成に関するご相談をいただいたのは2月頃で、春には男性女性双方が、現在お住まいのマンションから引越しをされる予定とのことでした。
そして、離婚に伴い、女性とお子さんの引越しで必要になる費用(必要な家具・家電の購入費用込み)を子どもの入学費用と合わせて○○万円とし、女性は男性から受け取られていました。
女性は、「事前に受け取ったお金で、なおかつ引越し費用と子どもの入学費用の内訳がきっちり分けられないお金なのですが、公正証書に記載しておいた方がいいですか?」と質問されましたので、離婚前に動いたお金(引越し費用・入学費用)であっても、離婚に伴うものであれば記載しておくほうがいいことをお伝えさせていただきました。
今回の事例では、男性から女性に「引越し費用と子どもの小学校入学費用を合わせた○○万円」の受け渡しが、公正証書作成前に、すでに行われていました。
このように、公正証書作成前に、お2人の間で動いたお金がある場合も、その内容を公正証書に記載しておいたほうがいいです。
女性は、「受け取ったお金のどこまでが引っ越し費用で、どこからが子どもの入学費用なのか、明確に分けられない」と話されていましたが、その内容の通りに、○○万円を男性が女性に支払い、女性が受け取ったことを公正証書に記載されています。
では何故、すでに支払い・受け取りが済んだお金のことを公正証書に記載しておくことが推奨されるのでしょうか?
その理由を下記でご説明いたします。
今回の事例の場合、離婚を切り出した男性側がそれにあたりますが、”引越し費用を支払った側”の立場を守るためにも、受け取り確認済みの引越し費用等を、公正証書に記載しておいたほうがいいです。
口座間のお金のやり取りの場合、通帳にお金が動いた記録は残りますが、”それが何のためのお金だったのか”というところまでは記録できないので、引越し費用であることの証明はできません。
また、現金でのやり取りで、口約束しか交わしていない場合も同様で、引越し費用の支払い・受け取りを証明するものがないと、後からトラブルにならないともかぎりません。
公正証書に記載があれば、引越し費用の支払い・受け取りが証明できることで支払い側の立場を守れ、その後のトラブルを防ぐためにも安心できます。
引越し費用、子どもの入学費用を合わせた諸費用に関して、公正証書に記載したことは以下の項目です。
今回は、既にやり取りが済んだお金であり、強制執行とは関係がないため、振込先の口座情報の記載はありません。
今回作成した公正証書では、「○年○月○日に、誰から誰に、○○万円のお金が、○○として支払われ、受け取りが確認されている」ことを明確に証明できる内容になっています。
※公正証書作成より後に支払い・受け取りを行うという場合は、万が一、支払いがされなかった時に、強制執行の対象になるよう、養育費と同様に、支払い期日、支払い方法(振込みの場合は口座詳細)も公正証書に明記します。
また、現在お住まいのマンションに置いてある家具・家電の取り扱いについては、それぞれ誰が所有するかということを、別途協議すると付け加えています。
「私の家具を勝手に捨てた」または「家具を勝手に持って行かれた」というトラブルを防ぐためです。
引越し費用等、事前に動いたお金がある場合は、内訳が必ずしも明確でなくても、公正証書にその内容を記載しておくと安心です。
離婚に伴う公正証書の作成サポートなら、行政書士オフィス大石で行っております。
電話相談も最初の1時間は無料ですので、お気軽にご相談ください。