
今回の公正証書の作成サポート事例は、大阪にお住いの30代女性が「離婚をするので書面を作りたい」ということで相談に来られたことがキッカケです。
離婚の際に作成する書面というと「離婚協議書」「公正証書」の2つがありますが、当初、奥様が想像されていたのは離婚協議書でした。
相談に来られてからお話を詳しく伺っているうちに、女性にはお子様があり、住宅ローンの残っている家の財産分与もあるということ、また離婚成立後に夫が望む対応をしっかりと取ってくれるのか分からないという不安があるということだったので、離婚協議書よりも証拠能力の高い公正証書にすることをお勧めさせていただき、公正証書の作成サポートを行わせていただきました。
ここでは、住宅ローンの残っている家の財産分与に関して記載したことについてのみ、詳しく触れていきたいと思います。
住宅ローンが残っている段階で離婚する例は数多くありますが、男性側が支払いを行うパターンや売却をするパターンが多いかと思います。今回は女性が住宅ローンを返済し、家を財産分与としてもらうという方向で、双方において同意をしていました。
財産分与をする住宅のローンは20年数年ほど残っていました。
あまりにプライベートなことなので、詳細な理由はお伺いをしていませんが、離婚後は、女性が住宅ローンを返済するということを双方の話し合いにおいて決められていました。
ただ、住宅ローンの支払いを女性が行うだけなら良いのですが、今回の事例においては、住宅名義とローンの名義が男性で、女性は専業主婦だったということで、返済中の名義変更は難しい状況でした。
そのため、ローンの支払いを確実に行うために、ローンの引き落としに利用している銀行のキャッシュカードと通帳を女性が住宅ローンの返済終了まで預かるという内容を記載することになりました。
なぜこのような支払い方法を取ることになるかというと、離婚後に相手が管理をしている口座にお金を振り込み対応を行う場合、確実に住宅ローンを行える確証はありませんし、最悪の場合、振り込んだお金を使われる可能性もあります。
住宅ローンの引き落としが確実に行われていない場合、住めなくなる可能性などもあるので、生活を担保するためにも出来る限りリスクは減らしておきたいということです。
住宅ローンはまだ20数年残っている状況ではありましたが、財産分与として家を女性に渡すということを決められました。
そのため、住宅ローンの返済後だけでなく住宅名義の変更が可能な状態になれば、名義変更手続きを誠意をもって対応していただけるように記載もしています。
正確には、「不動産の所有権移転につき、手続きに誠意を持って対応することを確約する。」といった記載を公正証書にしていました。
※状況により公正証書への記載の仕方が変わってくるので、同じように書けないことが多々あるため、見本としないことを推奨いたします。
住宅ローンを払うのは女性、財産分与として受け取るのも女性ということで将来的に所有権は女性側にあると言えます。
そのため、住宅を第三者に売却や賃貸に出す判断を女性が単独でできるようにするということも同意の上決められていました。
具体的な記載内容は、「第三者に賃貸や不動産の売却の判断は女性が単独でできることを承認した上、何らの異義も述べず手続きに誠意を持って協力することを確約する。」となっています。
※状況により公正証書への記載の仕方が変わってくるので、同じように書けないことが多々あるため、見本としないことを推奨いたします。
今回の事例は住宅ローンが残っている住宅を財産分与するということでしたが、名義などの問題や女性が住宅ローンを支払うということだったので、このように同意をしていただくことになりました。
ただ背景には女性が専業主婦であり、子どもがまだ小学生であることだけでなく様々なことがあります。
似たような状況であっても公正証書にする際は、内容は本当に人により全く違うものが出来上がることもあるので、できる限り行政書士などに相談をして、お互いで決めた方が良いことなどをピックアップしていくのが大切です。
せっかく公正証書にするのであれば、できる限り確実に思うような内容となるようにしていきたいですね!
大阪で住宅ローンの財産分与に関する公正証書なら、オフィス大石へご相談ください。