子どもが3人いる夫婦の別居に関する公正証書

今回の離婚相談内容

今回ご相談いただいたのは、ご主人と話し合った結果、別居を始められた奥様です。

ホームページから「別居の公正証書もできますか?」とお問い合せがあり、別居の場合でも公正証書を作成できることをお伝えしました。

その後、改めて奥様から、別居時の公正証書作成サポートについてご依頼をいただきました。

奥様は、ご夫婦で一緒に住むことは難しいが、離婚するかどうかはまだわからないという状態で別居を決められていました。

ただ、別居中、ご主人から奥様に生活費が支払われない場合等を心配され、公正証書の作成を考えられました。

今回は、別居する場合の公正証書の中でも、ご主人から奥様に支払われる生活費となる婚姻費用の分担と、今回のケースで決められた不動産についてご説明させていただきます。

別居時合意契約公正証書

奥様はご主人と話し合われ、別居の際に婚姻費用の分担、不動産などについて以下のように決められました。

 

  • 別居中、婚姻費用の分担として、年2回6ヶ月分をご主人が奥様に支払う
  • 婚姻中の住居には、別居中、3人の子どもと奥様が住む
  • 住宅ローンは、ご主人が返済する
  • 固定資産税は男性が所有者である限り支払う
  • 離婚にいたってしまった場合は、奥様に不動産を財産分与として譲渡する

 

離婚せずに別居が長く続いた場合について 

 

別居は、離婚に至る前段階としてが多いと思われますが、今回のご夫婦に関しては、そういうことでもないようで、それでも今は一緒にいることは奥様にとって難しく、別居になったということでした。

そのため、別居が長く続く可能性もあり、その場合の不動産の処理について、以下のように決められました。

 

  • 婚姻期間がある一定期間がきた場合の不動産についての法律を適用して、別居中にその期間がきた場合、不動産の所有をご主人から奥様に譲渡する
  • 上記の一定期間がきたときでも、法律の改正等があった場合は、再協議する

 

また、婚姻費用の分担については、公正証書の性質上、以下のように期限を決められました。

 

  • 一番下の子どもが二十歳になるまでご主人が支払う

 

その期限がきたときにまだ別居中である場合は、再協議することになります。

その他、別居中、毎月の生活費以外に必要となる入学金等についてや、万が一の事故などによる怪我や病気についても、決められています。

 

別居時の公正証書

 

民法では、「夫婦間でした約束は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方から取消すことができる」とされています。

ですが、この「婚姻中」というのは、形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも実質的にも継続していることをいうと解されていて、

「夫婦関係が破綻しているような状況での約束は、取消ができない」と判例で示されています。

(最高裁判決昭和42.2. 2 )

公正証書による別居に伴う婚姻費用分担等の契約は、容易に取消すことはできません。

別居中も、生活費が必要ですので、別居をする際に公正証書を作成される方々もいらっしゃいます。

今回のご相談者のように、別々に暮らすことで、婚姻費用の分担としての支払いがきっちり行われるか、不安を持たれる方も多いと思います。

 

公正証書を作成し、確定条件をみたせば、婚姻費用の分担などについて強制執行が可能となりますので、安心が得られると思います。

 

別居時等の書面作成について、わからないことがありましたら、一度ご相談いただければと思います。

 

離婚に限らず、別居をする際の公正証書作成サポートも、行政書士オフィス大石までご相談ください。

この事例の担当

行政書士 大石明美 行政書士オフィス大石代表

神戸にある大学の文学部英文学科卒業。
販売関係の仕事、日本語教師を経て、2008年12月10日行政書士オフィスを開業。
離婚等の公正証書作成サポートを開始。
2014年 大阪府行政書士会第65回定時総会にて「会長表彰」を受賞。
北海道から沖縄まで、全国各地から離婚公正証書作成サポート、別居公正証書作成サポート等のご依頼を受けています。

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