
今回ご相談いただいたのは、離婚が決まっている女性です。
婚姻期間が長く、2人の子どもはすでに成人されて、お仕事もされています。
ご相談をいただいた時点では、離婚に伴う財産分与として、男性の退職金を折半することと離婚時年金分割の合意分割をすると合意されていました。
女性は知り合いの方から「公正証書を作っておいたほうがいい」と言われ、その方がインターネットで当事務所ホームぺージを見てくださり「ここに相談してみたら」と女性にアドバイスされたことから、当事務所に相談に来られました。
公正証書を作成したほうがいいというのは、知り合いの方から言われていたようですが、公正証書について全くご存知なかったので、相談時にはその説明と離婚時年金分割(合意分割、3号分割)について等、説明させていただき、後日、ご依頼をいただきました。
今回は、その中で退職金の一部を財産分与することについて説明させていただきます。
男性の退職金の支給日は半年ほど先で金額も大体わかっている状態でした。
お客様都合により公正証書作成するまでに時間がかかったこともあって、その間に最初にお聞きした内容から少し変更がありましたが、最終的に以下のように決められました。
婚姻中に購入された不動産は男性名義で、ローン完済後もそのまま男性が所有されます。
将来退職時に支給される退職金を財産分与に含めることができるかどうかについて、まずご説明をさせていただきます。
退職金は、給与の後払い的なところと会社への貢献に対する恩恵的なところを有するものですから、これらは夫婦の協力があってのものであり、財産分与の対象となります。
ただ、退職金支給前に離婚する場合は、婚姻中に積み立てた財産と言える分が対象となり、退職金は対象外になることがあります。
退職金が財産分与の対象になるケースというのは、主に下記のような場合です。
今回のケースでは、退職金の支給日が半年後かつ金額もある程度明確になっている状況であり、お2人が合意されていたため、財産分与の対象とできました。
ここで大切なのは、「双方が合意している」ということです。
なぜなら、公正証書に記載できるのは、お互いの合意したことだからです。
ですので、退職金は財産分与の対象になりそうだというだけで、記載できるわけではないという事を知っていただければと思います。
離婚から退職まで十年以内でないと、財産分与とするのは難しいとされています。
上述したことにもなりますが、退職金を財産分与の対象とするためには、支給が確実であるということも必要となり、協議離婚の場合は、婚姻期間に応じてお2人で話し合って決めることになります。
離婚の際の財産分与に関して権利の主張をするのは大切ではありますが、あまり権利を主張し過ぎると、揉めて公正証書の作成どころではなくなる可能性もあるので、お互いの折り合いのつくところを探せると良いですね。
離婚についての公正証書作成サポートは、行政書士オフィス大石までご相談ください。