DVや嫌がらせを行った夫の誓約を記載した公正証書

ご相談内容

今回ご相談いただいたのは、夫からDVを受けた女性。相談に来られたときは、別居されていました。

「離婚を決意しましたが、夫からのDVがあり、離婚後のことも心配です。離婚に際して話し合いが難航している時などに、私の姉の職場に夫が嫌がらせの電話をかけたりして、姉にも迷惑をかけてしまいました。いろいろ夫と決めたことがあるので、公正証書を作りたいと思うのですが、夫がこうした問題行動をしないという誓約のようなものも入れたいのです。入れられますか?」

というご相談を受けました。ご主人は、今後そのようなことはしないと約束すると言われているようでした。

公正証書に誓約事項を記載することは可能

このような誓約は、公序良俗に反するものではなく、相手の合意を得ることができれば、通常は公正証書に記載することができます。

今回の相談内容も、公正証書に記載することへの相手の合意が得られれば、記載することが可能であるとお伝えしました。

 

その後お2人での話し合いの結果、誓約については、以下を記載することとなりました。

1. 妻の生活に一切の干渉をしない、関わらない

2. 妻の実姉に対しても一切関わらない

 

 

他にも、離婚について合意された内容が記載されています。

お2人の間には解決金としてのお金の動きはありましたが、公正証書調印日には支払いが終わっていたため、その受領確認の記載となっています。

また、お2人には子どもがいないので養育費のような継続しての支払いはありませんでした。

 

また、女性が男性を恐れ、「離婚後は決して会いたくないし、引越先の住所を知られたくない」と思われていることから、通常、公正証書に入れる「離婚後も住所、勤務先、連絡先等に変更があったときは、相手方に連絡する」旨の内容は入れないことになりました。

 

また、婚姻中にお2人がお住まいになっていたマンションから、ご主人が出られて別居中でしたが、そのマンションは解約されることになっていました。その時はまだ奥様が住まれていたので、そのマンションに残っている家財道具等は、奥様の所有であり、奥様が処分できる旨の合意も入れました。

後で、「あれは自分のものだったのに、勝手に処分された」と夫から言われないためです。 

この内容は、今回だけでなく入れることがあります。

 

事情により奥様からご主人へ支払われた解決金についても、既に支払いは終わっていましたが、その受領をしたということを公正証書に入れています。

 

離婚後の生活の安心材料として、公正証書を作成するという選択肢

2人の間で合意も得られ、当事務所で公正証書の原案を作成し、公証役場での調印を経て、公正証書は完成しました。

今回の公正証書は、誓約だけでなく、他の合意内容もたくさんありましたが、妻は、離婚後に夫から嫌がらせや復讐をされないか不安や恐怖を感じられていたので、安心を得るために公正証書に夫からの誓約を記載することを望まれました。

ただし、公正証書に記載することで、今後夫の問題行動がなくなることが保証されたり、万一、問題行動を起こした場合に法的な強制力や拘束力を得られるわけではないという点には、注意が必要です。

 

公正証書によって、こうした効果が保証されるわけではありませんが、お2人が誓約内容に合意し、証拠として大きな力をもつ公正証書という書面として残したという事実は、問題行動への抑止力となるといえます。

実際に今回ご相談された女性も、正式な書面に誓約も記載されたことで、新しい生活に踏み出していくための安心材料が増えたようです。

 

離婚に際して、金銭に関するやりとりやパートナーの問題行動で困っているという方は、男性・女性ともに多いです。不安を抱えたまま離婚するのではなく、公正証書という公的な書面を作ることで、2人の間でけじめをつけることは心情的にも大きな価値があると思われます。

 

公正証書作成や離婚問題でお困りの際は、行政書士オフィス大石までお気軽にご相談ください。

 

全国対応可能 行政書士オフィス大石の「離婚公正証書作成サポート」の内容を見る サービス内容はこちら

 

この事例の担当

行政書士 大石明美 行政書士オフィス大石代表

神戸にある大学の文学部英文学科卒業。
販売関係の仕事、日本語教師を経て、2008年12月10日行政書士オフィスを開業。
離婚等の公正証書作成サポートを開始。
2014年 大阪府行政書士会第65回定時総会にて「会長表彰」を受賞。
北海道から沖縄まで、全国各地から離婚公正証書作成サポート、別居公正証書作成サポート等のご依頼を受けています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加