すでに離婚をされている女性からご依頼をいただきました。
元夫婦である2人には離婚中に購入している不動産があり、元夫の単独名義で、離婚時には、ローンは元夫が返済し、財産分与として元夫のものとすると合意されていました。
ご依頼の時点で、元妻はこの不動産ローンの連帯保証人となっていて、「これから先、万一のことがあって不動産ローンの負担をしなければならなったらどうしよう」と、とても心配をされておられました。
当事務所にご相談をいただき、元妻が今後連帯保証の関係を解消するため、また、もし連帯保証人として負担をしなければならなくなった際の求償に関しての内容を提案。元夫の合意を得て、公正証書とするためのサポートを行いました。
当事務所へ来られる前に、元妻は元夫に「連帯保証人から抜けることができないか」という相談をされています。
元夫からの回答は「親族などを含めて他の連帯保証人を探してみたがいなかった」「代わりに担保となるような物件もない」「借り換えも難しいようだった」というものでした。
現在は連帯保証人から抜けられないことがわかり、元妻の不安はさらに大きいものとなり、万一の時に備えて、証拠能力の高い公正証書の作成を考えられました。
公正証書ではまず、連帯保証人が負担することになってしまった場合に、事前、事後に関わらずその負担金額を元夫に求償することができることを決めています。さらに不動産ローン返済についての確約や連帯保証の関係を解消できるよう、主に下記のような内容としています。
今回の公正証書作成サポートでは、依頼者である元妻が未来に起こりうる問題や係争にあらかじめ備え、安心を確保するためのお手伝いをいたしました。
公正証書は、契約内容が守られずに争いとなった場合には、証拠力としても強いものですし、金銭支払いの遅延・不払いがあった場合に強制執行ができる大きな効力があります。(強制執行を可能にするには、強制執行認諾文言も必要であり、その支払いについての決め方も重要です)
ただし、こうした強い効力をもつ公正証書は、約束を取り交わす双方の合意がなければ作ることはできません。今回作成した公正証書の原案も、元夫の同意を得たうえでその内容を決めています。
大きな効力をもつものであるからこそ、公正証書の作成は慎重に、また約束を取り交わす双方のしっかりとした連絡、相談、同意を踏まえて行うことが肝心です。
公正証書を作成する際は、内容の適切なアドバイスが行え、公正証書原案作成までの流れをしっかりと理解した専門家に相談することをおすすめします。