
ご主人が事業で借金を繰り返し、奥様が離婚を決意。公正証書作成サポートをご依頼されました。 ご主人は婚姻前から婚姻中も、独身のときの奥様の預貯金から、かなりの金額を借りられていて、奥様のお母様からも借り入れがありました。そういうこと以外にも、いろいろなトラブルもあり、度重なる心労で奥様も大変なようでした。
その他の借金等、これまでご実家が助けてこられたそうですが、自分で返さなければならないということを自覚してほしいというご家族の思いがありました。
公正証書の作成サポートのご相談に際して、奥様はご主人のご兄弟とともに、当事務所へいらっしゃいました。
事業のこととはいえ、借金を繰り返すご主人に対してこれまで実家や奥様がお金を出して支えていたものの、それによってご主人が「なんとかなる」と思い込んでしまっている。これでは本人のためにならず、借金を返済しなければならないと自覚してもらうためにも返済について公正証書にしたいというご相談でした。ご家族のこのご主人に対する愛情がすごく感じられました。
奥様への返済は、離婚についての公正証書に入れられますが、奥様のお母様から借りた分は、お兄さんがお母様に返済され、ご主人からお兄さんに分割で返済するということになっていました。この2人の間の債務弁済は、離婚されるお2人の間の返済ではありませんので、離婚の公正証書とは別に債務承認弁済等公正証書を作成されることになりました。
公正証書は、公文書であり強制執行ができる強い力を持った書面です。強制執行は最終手段であり、それによって、心的に払わなければならないという気持ちを持ち続けていただくのが目的になると思います。今回の場合も、返済についてだけでなく、いろいろなことを決められ、約束したことを本当に守ってほしいというご家族の思いがありました。
奥様や奥様のお母様は、ご主人からお金を貸してほしいとお願いされると断れないようで、離婚後にも頼まれないかと心配されていました。
それで離婚後、奥様や奥様のお母様に、借金の相談をしないこと、迷惑をかけないことを確約することにし、ご主人も合意されました。
通常は、離婚後、住所や連絡先等に変更があった場合は、お互いに知らせる通知義務を入れます。今回も通知義務は入れていますが、今までのご事情により、奥様の離婚後の住所についてだけは、通知義務のところに入れないことになりました。「貸してほしい」と頼みに来られることを心配されてのことです。
今回はWebサイトを見られた奥様から当事務所にお電話いただき、ご主人のご兄弟とともに相談に来ていただいたので、離婚の背景や奥様の希望、ご家族の思いをしっかりとお聞きすることができ、離婚に至ってしまった原因(記載希望でした)、ご主人に対して借金の相談の禁止や通知義務における例外、その他の合意内容を原案に明確に記載することができましたし、公証人にもしっかり伝えました。
今回のケースは違いますが、ご自分で公正証書原案となるものや離婚協議書等を作成しようとされる方で、雛形等を使われる方もいらっしゃいます。お二人の合意内容をどのように記載すればいいのか、的確に記載していくのはなかなか難しいものです。雛形はあくまで雛形でしかありません。
自分達で雛形を使われると、ある部分変更すると、他の部分も変更の必要がでてきても、そのままになっていたり、自分達は決めた内容でなくても、雛形にあるからと、そのまま残されていたり、決めたことでも雛形にないから書けないと感じてられること等が多いように感じます。
当事務所にご相談に来られた方の中にも、「こんな内容は書けるのだろうか」「こんなことを書いてもいいのだろうか」という質問をされる方は多いです。
お2人の合意内容を的確に残すため、後で困らない書面作成のためにも、離婚協議書作成・公正証書作成サポートのプロである行政書士に相談されることをおすすめします。