
夫との間に、子どもが一人います。離婚後、親権は私が持ちますが、万が一、子どもが未成年であるうちに私が死亡したとき、親権が実父にいってしまうかと思うと不安で仕方がありません。
私が死亡した後も、元夫には親権を渡したくはありません。元夫に親権を渡さないために、何かできることはありませんか。
子どもの親権は、夫婦が離婚する際に争点になる事のひとつです。相談者様は、万が一、お子様が未成年のうちに自分が亡くなってしまったら、親権が元夫に渡ってしまうのではないと、大変心配されていました。
離婚後に親権者が死亡した場合、自動的に親権がもう一方の親(今回で言うとご主人)に移るというわけではありません。残されたもう一方の親が親権を希望する場合、親権者死亡に伴う親権者変更の審判を家庭裁判所におこし、それが認められれば、親権者の変更が行われます。
親権者が元夫に変更されない方法が一つありますので、それをお伝えしました。
相談者の死亡後、元夫を親権者にしない方法は、親権者である相談者様の遺言書で未成年後見人を指定することです。
未成年後見人とは、親権者の死亡等のため未成年者に対し親権を行う者がいない場合、申立により家庭裁判所が選任するもので、未成年者の法定代理人であり、未成年者の監護養育、財産管理、契約等の法律行為を行います。
民法839条によると、未成年者に対して最後に親権を行う者が遺言で指定していた場合には、その者を未成年後見人に選任することができます。要するに、親権者である母親が遺言書で未成年後見人を指定しておくことができます。遺言書以外では、未成年後見人の指定はできません。
ですが、相談者は、自分の身内の誰かが未成年後見人になると思うけれど、今指定ができないとおっしゃいます。そのため今回は、完全な方法ではありませんが、離婚給付契約等公正証書に「未成年後見人の選任の請求」について記載することになりました。
民法840条によれば、子どもの祖父母などの親族その他利害関係者は、未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求することができます。
男性側の同意も得て、親権者が死亡等にして、親権を行う者がいなくなったときは、家庭裁判所に対し、未成年後見人の選任の請求をする という内容を入れました。
元夫が親権者変更の申し立てをしないとは限りませんが、遺言書を書かない以上、未成年後見人の選任の請求をすることに同意しているということを残しておくしかありませんでした。相談者様もそれで納得され、そのような記載を入れることとなりました。
相談者様のご都合・心情に寄り添った離婚の相談、公正証書の作成をサポートをいたします。離婚に関するお悩みは、行政書士オフィス大石までお気軽にご相談ください。